糖尿病は自覚症状に乏しいのが特徴ですが、血糖値が高くなると、腎臓から過剰に糖分が排泄され(尿糖)、浸透圧利尿という病態が生じ、おしっこの回数が多くなります。そうなると、当然のどの渇きを感じることが多くなり、もし、この時取る水分が分の含まれた清涼飲料水だった場合は、実は逆効果で、さらに血糖値を上げ、尿の回数が増え、のどが渇くという悪循環をもたらし、最終的にはソフトドリンクケトーシスといった体がだるくなってしまう病態に陥る危険性もあります。
血糖値が高くなりすぎると、体内の糖代謝が障害され、血糖値は高いのに末梢の組織(筋肉や臓器等)に十分な栄養が行っておらず、そのため、組織は周りの脂肪を無理やり分解してエネルギーにするといった病態が発生します。この時発生するのがケトンで、体をだるくさせてしまいます。自己免疫性で糖尿病になってしまう1型糖尿病や膵臓の病気の方もインスリンが膵臓から分泌されなくなってしまうため、同様の症状になることがあります。この時、実は体重は急激に痩せてくることが多く(栄養が十分末梢に与えられず、脂肪を分解されてしまうため)、現代は肥満が問題ではありますが、逆に重症な糖尿病になっている場合が多く、速やかな受診が必要です。この場合は、インスリン治療が必要となることがほとんどです。
糖尿病の3大合併症と呼ばれるもののうち、糖尿病網膜症になってしまった危険性があります。糖尿病網膜症は放置しておくとしばしば失明に至ってしまう病気で、眼においてスクリーンの役割をする網膜の血管がつまって起こります。進行すると黄斑症や増殖性網膜症に至り、視機能が低下していきます。このようになる前に、視力の低下を自覚したら、眼科を早めに受診し、糖尿病網膜症になってしまっていた場合は速やかに内科の治療も開始する必要があります。
糖尿病の3大合併症と呼ばれるもののうち、糖尿病腎症になってしまった危険性があります。糖尿病腎症は透析になってしまう原因の上位に位置する病気です。当初は強い症状はないのですが、腎症が進むと、尿に蛋白が出てきてしまいます。それが高度になると、血中の蛋白は減少する、低蛋白血症という病態が起こり、浮腫(むくみ)が特に下肢から起こってきます。水分貯留が進み、胸水や腹水が生じると、息苦しさ等が現れ、場合によっては入院が必要になってしまう場合もあります。
糖尿病の3大合併症と呼ばれるもののうち、糖尿病神経障害になってしまった危険性があります。糖尿病神経障害は、糖尿病の合併症の中でも、比較的早期(罹病期間5年程度)から発言するといわれております。まずは、感覚障害(熱い、冷たい、痛い等を感じなくなってくる)が起こりますが、自覚症状として感じるのは、手足の先がしびれたり、常に足底にもう一枚紙などが貼りついたような違和感を感じたりします。こむらがえりも糖尿病神経症の症状の一つです。一方で、神経障害が進むと、自律神経障害が起こり、立ちくらみや下痢・便秘を繰り返したり、男性の場合はED(勃起障害)が起こる場合もあります。
糖尿病の神経障害によって、熱い、冷たい、痛い等の感覚障害をもたらすと、健康の時には反応できていたちょっとした傷(足の指先のやけどや靴ずれ、タコなど)にも気づきにくくなってしまいます。一方で、血糖が高いことは細菌にとっても栄養分が多いことですから、ばい菌に感染しやすくなり、気づけば、重症になってしまう場合があります。最悪は糖尿病足壊疽で足を切断しなくてはいけない場合もありますので、ケガがなかなか治らない場合も受診をしていただき、血糖のチェックを受けていただくことが重要です。